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東京大学の教育改革および学事暦改革について考えている東大有志の会のブログです。

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イベント「新・学事暦を考える」のご案内

「教育改革・学事暦について考える東大有志の会」(以下「考える会」)は、これまで、学事暦改革による学生への影響・実態を把握するとともに、そこで得られた学生の声を総長はじめ大学当局に届け、また学生間での学事暦に関する情報を共有することを目的として、学生・教職員を対象としたアンケート調査等を行なって来ました。

当会のアンケート調査からは、4月からの学事暦改定に関して、学生や教職員の間での正確な情報共有がなされておらず、変更内容を全く知らない学生も多く、学生・教職員ともに今後の大学「改革」の行方に対して大きな不安を抱えている現状の実態が報告されています。

そこで、本会では、学事暦改革の内情にも詳しい、教養学部・総合文化研究科の小森陽一先生をお招きし、現況の「改革」がどのような文脈の上に成り立っているのか、学事暦改革で起こり得ること、そしてこれからの大学のゆくえについて、貴重なお話を伺うべく、以下のイベントを開催させていただきます。
また、トーク終了後、職員及び学生代表者3名を交えたパネルディスカッション及び質疑応答を予定しています。こちらもふるってのご参加をお願い致します。

学生や教職員のみなさんをはじめ、この問題にご興味のある方でしたらどなたでも歓迎いたします。皆さま、ふるってご参加お願い申し上げます。

 東大は、どこへ行くのか。
 
――新・学事暦を考える――
 東大教授・小森陽一氏トーク&パネルディスカッション
 日時:2015年4月23日(木)18:30~20:30 (18:00開場)
 場所:赤門総合研究棟2階・A200番教室(赤門から入って右側の建物です)
 内容:小森陽一先生(教養学部・総合文化研究科)基調講演
    「考える会」によるアンケート結果報告
    学生・職員代表を交えたパネルディスカッション
    質疑応答                 

なお、イベントのインターネット配信(ustream中継)等は未定です。詳しいお知らせは随時このBlog及びTwitter(@UT_Semester)にて追って公開させて頂きます。



           教育改革・学事暦について考える東大有志の会                       gakujireki@yahoo.co.jp, twitter:@UT_Semester

拍手[5回]

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考える会への要望と考える会としての考え

 今回は、学生用アンケートの回答(104件、3/3現在)から得た、私たち「考える会」への要望についてみていきます。「私たち教育改革・学事暦について考える東大有志の会(考える会)に、なにか要望がありましたらお書きください。 (ex.研究科ごとに説明会を開いてほしい、など)」という記述式の質問項目にて、16の回答が寄せられました。

  意見・要望は、以下のように大きく三つにわかれます。

(1)     「考える」()の趣旨について

Q.「標榜されている「考える」というものがどういったニュアンスなのか図りかねます」や「これらの意見の使い方(意見を集約して大学当局に提出する、など)が気になりました」など、団体としての方向性について意見がありました。

 A.まず、私たちの活動目的については、ブログのこのページにまとめてあります。ぜひご覧ください。

 上記ブログでも言及していますが、私たちの目的は、新学事暦や教育改革について、賛成や反対といった明示的な立場を示してその実現を目指すものではなく、2015年度から(移行期間を含む形で)開始される学事暦についての、決定のプロセスや周知の状況を問題にしています。「考える」というのは、立場や所属の違いを超えて、東大に関わるみんなで学事暦や教育改革について議論しよう、という意味があります。

 このことにもかかわりますが、みなさんにご回答いただいているアンケートについては、回答者のみなさんよりいただいた意見・周知状況といった実態を共有するために用います。この実態報告を中心としたイベントを学内にて企画中です。

 

(2)     団体および教育改革・学事暦の広報活動について

Q.「団体の存在が十分に周知されていない」「もっとSNSを活用し、キャンパスでも大々的に宣伝して欲しい」などの意見がみられました。

 

A. 現在、各キャンパスにおいて、「考える会」のビラを配布・掲示しています。ビラは、以下の2種類があります。


  
  

私たちは、準備期間を含めて昨年の秋から会議・活動を行っています。アンケートを開始したのが冬休み期間でしたので、団体の存在が十分に周知されていないというのは、その通りかと思います。今後は、学内での掲示板やSNSをより積極的に活用して行きたいと思います。もし「○○にもビラを貼ってほしい」「◆◆であればビラを貼っても大丈夫」というご意見いただけましたら、こちらで掲載させていただきます!

 

(3)     具体的な成果や今後の見通しについて

①大学側へのご意見

Q.「研究科ごとの説明会があるのか(あったのか)/ターム制採用の際の非常勤講師の処遇はどうなるのか」などの具体的な情報の提示がありました。

 

A.これについては、現在これまでなされた説明会について、私たちが一覧を作成する予定です。これからの説明がなされるものについても、補足ができましたら、Twitterなどで適宜宣伝をしていきたいと思っています。

また、研究条件や(一部教職員の)労働条件については、私たちでは回答ができませんので、今後、当局への質問・要請なども含め、対応を考えていきたいと思います。

 

②私たちの活動へのご意見

Q.「大学側に意見を伝えるとともになんらかの成果を出していただけることを期待」するという意見や、「調査結果によっては、署名運動などの行動をしてもよいと思う」、さらには学内の問題にとどまらず、「……「東大改革」の些末な問題追及に留まらず、高等教育政策全体の動向を睨んで色々提言して頂けると嬉しいです」という東大を含む高等教育政策全体への提言などを求める意見もありました。

他方、「制度が実際に動き出したあとで、予想されたデメリットが顕在化した時に、制度を調整していく(または撤回させていく)手立てや見通しがあるのか」、また「結論だしたとして変える力があるかが疑問」「学事暦について提言するのには、遅すぎると思う。確かにこの無防備な計画はこのままでは許されないが、今から動いても正直無駄では」と、成果については疑問視する意見がみられます。

 

A.現時点では、100人ほどの意見をみなさんよりいただいていますが、とりあえず企画を行ってその実態報告を行うつもりでおります。大学への交渉は、①や②で見たように、将来的には実現/実行の課題となると思います。

 また、制度を調整/撤回をさせていく手だてや見通しは、私たちは学生・院生の有志ですので、(狭い意味で)学内行政についての決定権限を有していません。学内においては、実効的な影響力をもっていない人が大半ですので、その意味では考える会の活動や成果については疑問視する意見が出てくるのも、しごくもっともなことだと思います。もちろん、私たちが活動を始めるのが遅かったこともあれば、活動を素早く展開できなかったこともありますので、私たちの責任もあると思います。

 しかし問題は、だからといって何もしないというのが最善か、ということだと思います。第一に、今回の新学事暦導入については、そのプロセスの不透明性があり、そうであるがゆえに、学内の関係者・大学の構成員の意見がきちんと反映されたのか、という点に関して、実態をきちんと知ることがまず大事になると思います。また第二に、結果として出されたものが、それがいいか悪いかは一般論では決められないにしても、「実害」が生じてきた段階で、何かしらのその不満や要求が伝えられる回路がなければ、改善も困難だと思います。その意味で、遅きに失するとしても、やらないよりはやったほうがいいのではないか、という最も基本的な点を、重視して活動していきたいと思います。

 

改めてになりますが、教育改革・新学事暦についてのシンポジウムを近日中に開催予定です。詳細が決まり次第ブログにて公開しますので、奮ってご参加ください。

アンケート結果は、今後も随時公開していきます!

拍手[3回]

文科省「学事暦の多様化とギャップタームに関する検討会議」について

<文部科学省の有識者会議>

文部科学省主催の「学事暦の多様化とギャップタームに関する検討会議」※1が、平成25930日から平成26414日まで、計5回にわたって開催されました。平成26529日に出された意見のまとめを要約すると以下のようになります。

できるだけ早いタイミングで世界や社会の現実の中に飛び込み、異なる価値観にぶつかる社会体験を通じて、世界で戦える人材、すなわちグローバルな視点をもって未来を切り拓くことが出来るたくましい人材を育成するために、大学の教育力強化の必要性がある。

しかし、留学やインターンシップなどの社会体験活動は充分に機会が与えられておらず、諸外国において海外留学する者の数は増えている一方で日本人留学生は減っている※2

イギリスなどでは、「ギャップイヤー」という、大学入学前・在学中などに、留学やインターンシップを行う習慣があり、日本の大学においても、学事暦についてより弾力的な制度を導入することが期待されている。当然、日本で大学が秋入学に完全移行すると、就職などの様々な仕組みに合わないなどの課題が指摘される。したがって一律に決まった形で導入するのではなく、実践を積み重ねて多様なロールモデルを確立していくという努力が期待される。

平成25年度から導入が可能になった4学期制あるいはそれに準じた教育課程編成は、学期の区切りや長期休業期間を海外の大学に合わせることが出来るため、留学などの国際交流が促進できる。

このためには、社会や企業による支援の促進も必要である。産業界がギャップイヤーの経験を積極的に評価し、そのことが情報発信されることを期待する。国も、ギャップイヤープログラムを経験できる環境をつくるために、支援を迅速かつ着実に行う必要がある。

 

<アンケートで寄せられた声>

今回の東大における4ターム制導入の背景には、このような文部科学省の検討会議での意見がありました。本まとめからは、制度的に留学しやすい環境を整えようという意図が見られますが、本当に4ターム制を導入することによって学生の留学への意欲は高まるのでしょうか。私達の集めたアンケートでも、留学しない理由として「学期編成の問題」を挙げている学生は多くありません。文科省の検討会議においても、経済的問題や留学したことによる留年への懸念が、留学に関する主な障害とされていました。

4ターム制度の導入という、大学全体に大きな影響や混乱をもたらすことに見合うような効果があるのか、充分な検討が必要ではないでしょうか。

 

1文部科学省主催の「学事暦の多様化とギャップタームに関する検討会議」

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/57/index.htm

 

2文部科学省資料「我が国の大学の国際化の状況について」

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/57/siryo/__icsFiles/afieldfile/2013/11/28/1341936_07_1.pdf

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